ちょっと前のことなのにね

このあいだ、iPodからビートルズの「ペニー・レイン」が流れてきた。なんとなく聴いているうちに、間奏で左に定位している金管楽器の音がふと気になった。ずっとトランペットだと思ってたけど、曲を聴いていると、普段多摩川で耳にしているのに比べてとんでもなく高い音を出しているので、「はっ、これはトランペットじゃない。何か別の楽器ではないか?」ということに思い至った。
家に帰ってググって、この楽器がピッコロトランペットであることを知ったのだけれど、もしこれがGoogleのない時代だったらどうやって調べていただろう?
まずは家でサンレコのバックナンバーを漁ることから始めるとして、それで見つからなかったら宮前図書館に行って楽器の図鑑を探してみるだろう。それでも見つからなかったら渋谷のYAMAHAに行って、楽譜コーナーでビートルズのバンドスコアを見て、何の楽器が指定してあるかを見てみよう。それでも見つからないときはビートルズ関連のハードカバーで、録音時のエピソードが書いてあるものを片っ端から立ち読みするしかないか。案外ブライアン・エプスタインの自伝とかに書いてありそうな気がしなくもない。
そんなことをシミュレーションしてみると、あまりの労力に気が遠くなりそうだけど、そのプロセスの途中で得られる知識は、ググって3秒で「ピッコロトランペット」と比べるとものすごい量になる訳じゃないですか。確かに便利になったことでそのぶん別のことに時間と労力を割けるのは良いことなんだけど、知識の厚みみたいなものが得にくくなっているということを意識していないと、いつか足元を掬われるし、それをリカバすることを心がけていないといけないと思う。
たとえばネットを使えば「アポロは月に行っていない」なんてトンデモな意見も、検索によって都合の良い結果を拾っていれば信じるのは容易だし、調べる過程で得られるその他の情報も少ないから、軌道修正も難しくなる。
そういう、ちょっと昔の「ググらない叡智」みたいなものを自分らの世代は体験しているはずなのに、すっかり忘れちゃってるのはイカンなー、と思った次第。


なんつーか、今「カルトQ」をリメイクしても、凄くつまらない番組になることは間違いないだろうね。

世界の楽器百科図鑑―楽器の起源と発展

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ビートルズをつくった男―ブライアン・エプスタイン (新潮文庫)

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