昨日のできごと
地震とそれほど関係ないが、放っておくと忘れてしまうと思うので書いておく。
11日は仕事場で夜が明けるのを待ち、12日朝になって帰宅すべく行動を開始した。吉祥寺から井の頭線に乗って下北沢に着き、小田急線に乗り換える。このとき普段乗る乗車位置ではなく、車掌の列車無線でのやりとりを聞いておこうと思って最後尾の車両に乗った。
車内には車いすにのった女性と、その車いすを押す介助人の女性がいた。そして年配の酔っぱらった男性がいて、車いすの女性にやたらと話しかけていた。酔っぱらいは声が大きくて、聞きたくもない話を聞いて私が理解したのは、どうやら若い男性が酔っぱらいに対して注意をしたようで、それに対して「俺は空手○段だ」みたいなことを酔っぱらいながら言っているということであった。注意した男性は酔っぱらいの戯言は相手にせず、経堂で下車した。酔っぱらいは男性を追いかけてホームに出て罵声を浴びせていたけど、そのまま車内に戻ってきて、再度車いすの女性に絡みだした。
この時点で私のイライラ度はピークに達してきたのだが、下手に注意して本当にこの酔っぱらいが空手有段者でいきなり殴られても嫌だし(武道の嗜みのある人はそんなことしないものだがね)、何より地震で乗客の疲労や精神状態も平常ではないので、不要なトラブルを起こすのはよくないと判断して、そのまま静観していた。酔っぱらいは車いすの女性と介助人に対して「こういう非常時に身体の不自由な人を守るのが強い男の使命だ」みたいなことを語り続けていたのだが、そのうち車いすの女性の手を握って声をかけはじめた。おいおいそれはさすがにアウトだろうと思い、成城学園前で少し客が減ったタイミングで近づいた酔っぱらいに声をかけた。
「おっちゃん、随分酔っぱらってるね。何杯飲んだの?」
なんですかそのバラエティートークは、と自分に総ツッコミを入れたくなったが、おっちゃんは食いついてきて、登戸までの間酔っぱらいトークをすることになった。
おっちゃん「登戸は何で登戸って言うか知ってるか?」
私「知らない。何で登戸って言うの?教えて?」
おっちゃん「教えない。」
周りの人、笑う。知らんふりしてしっかり聞いてるのか。
結局私は平常通り登戸で下車した。その後酔っぱらいのおっちゃんがどうなったかは知る余地もない。ピリピリした車内の雰囲気をちょっとでも和やかにできたという意味では成功だけど、あれでおっちゃんが増々調子に乗って車いすの女性に話し続けていたら失敗だったかもしれない。結局は何が良くて何が悪いか、やるべきことかやらなくてよいことなのか、知ることはできない。
多分世の中はそんなふうなものの積み重ねなのだ。