18きっぷの旅2012夏・二日目「狭隘路線バスと大井川鐵道に乗る」
二日目の朝はネットカフェの周囲の客が4時頃からバタバタドタドタと動き出したので目が覚めてしまった。仕方ないので早めにチェックアウト(?)して松屋で牛丼の朝食。
さて静岡で一泊したのには訳がある。大井川鐵道井川線に乗るのに単純な往復では面白くないので、片道は静岡からのバスを使うためだ。記憶では静岡駅から井川までのバスがあったはずと思って出発前に調べたところ、2008年に廃止になっていた。代替として井川地区自主運行バスというものが運行されていて、静鉄ジャストラインのバスと上落合という停留所で接続している。
静岡市のサイトにある自主運行バスの時刻表(→PDF)を見ると、現実的に利用可能なのは井川駅前を15:25に出る便と、井川駅前に10:13に着く便だけだ。このうち前者は途中乗り継いで静岡駅に着くのが17:56で、18きっぷを使って東京まで戻るには若干遅い。そこで静岡を6:56に出るバスに乗り、上落合で自主運行バスに乗り継いで井川駅前に10:13に着くというプランを採用するために静岡泊としたのだった。
しかしこの自主運行バスは、静岡市のサイトを見ると
このバスは、井川地区住民の生活交通(通院・買物等)の確保を主な目的としています。
また、普通乗用車両を用いて運行しているため、定員が9名であり、荷物用の積載スペースはございません。以上のことから、井川地区自主運行バスのご利用にあたりまして、下記のとおりとさせていただきます。
1.井川地区住民の乗車を優先します。
2.定員超過となった場合には、ご乗車をお断りします。
3.ご乗車の予約はお受けいたしません。
という文言が書いてあり、実際に行ってみても乗れるかは分からない。夏休み最後の平日である31日ならば通学の学生も観光客も少ないだろうという読みで、日程をこの日にしたのも計画のうちである。
そんな訳で腹ごしらえを済ませて、9番乗り場から発車する上落合行きのバスに乗車する。フロントウインドウに「井川自主運行バス連絡」というサボが下がっている。
運転免許センターがある辺りまではそれなりに人が乗っているが、それを過ぎると一気に乗客が減った。ここで運転士が「井川方面まで行く方はいますか?」と聞いてきた。私ともう一名、登山スタイルの男性が名乗り出たところ、営業所と無線で連絡をした。どうやら自主運行バスには乗れそうだ。
バスは安倍川沿いを上流に分け入り、ついにはこんな狭隘区間に突入。
途中でトイレ休憩をはさみ、これ以上進むことができないので折り返し地点を作りましたといった風情の上落合バス停に到着。
これが接続する井川地区自主運行バス「てしゃまんくん」。その実態は普通のハイエース。
そしてその筋の人にはたまらない時刻表。1日2本だよ。
この日の乗客は結局、静鉄バスから乗り継いだ私と山男の2名だけだった。
上落合を出た自主運行バスは、ひたすら山道をぐねぐねと登って行く。
もはやあまりの山道ぶりに写真を撮る余裕もなかった。岩泉線の押角峠を超える国道以上の体験だ。
やっとサミットを超えて、井川の集落が見えるところまでやってきた。
井川駅前に到着。大変に濃い乗車体験をした。
接続の井川線千頭行きは約20分待ち。
井川駅のスタンプに「DISCOVER JAPAN」モノがあってものすごく驚いた。私鉄のDJスタンプって初めて見た。
窓ががっつり開く客車に乗るのも久しぶりだ。10:35井川発。
]
車窓はダム!
ダム!
廃線跡!
接岨峡温泉駅で観光客が大勢乗車してきた。
長島ダム駅で前方にアプト式電気機関車ED90を連結。
これがラックレールと噛み合う歯車。
そして出発。
またしてもダム!
アプトいちしろ駅でED90を切り離し。これがラックレール。
接岨峡温泉で乗ってきた観光客は奥泉駅で下車した。こんな短時間の乗車で面白いのだろうか。
川根両国駅の車庫にいるDB1をちらっと見て、12:22に千頭到着。
千頭には小学生の頃、祖父母に連れられてSL川根路号に乗りに来たことがあるので、かれこれ30年ぶりの訪問だ。これで静岡県内のJRと私鉄全線に完乗したので、記念にあずきバーを食べた。そして12:42発の金谷行きに乗車。
途中駅でSLと交換したのでとりあえず撮影。
どこか途中下車しようかと思っていたが、眠くなってきたのでそのまま金谷まで乗車。
あとは18きっぷで東海道本線に乗車。静岡駅で降りて、職場へのお土産のうなぎパイと、奥様へのお土産に「びっくりどら焼き」を買って帰宅の途に着いた。
最後に追記。
本記事は2012年のものであり、今後の県道三峰落合線復旧によって井川地区自主運行バスの接続バス停が、上落合から本来の横沢となることも考えられるので、この記事を見て「自分も行ってみよう」と思った人は、以下の静岡市公式サイトとWikipediaの井川地区自主運行バスのページを見て、最新の情報を確認することをお勧めする。
井川地区自主運行バスについて ‐ 静岡市
井川地区自主運行バス - Wikipedia
さらに追記。
平成26年4月1日から井川地区自主運行バスは、横沢接続に戻りました。
井川地区自主運行バスについて ‐ 静岡市