「ニセチャイナ」

図書館で書名だけ見て「中国製偽ブランド商品の本かな?」と思って手に取ったら、戦前の中国傀儡政権を扱った本だった。表紙の濃さに思わず借りてしまった。

単純に「傀儡政権=悪」という切り口ではなく、かといってネトウヨお得意の「日本は良いこともしたー」の紹介でもない描き方が良かった。例えば王兆銘政権と日本の間で治外法権の撤廃と租界の返還が行われたことは初めて知った。
中国には中国人なりの権力闘争とか国家観とかある訳で、そこは日本人が評価するところじゃないけど、それに付け込んで顧問とか送り込む大日本帝国のやり口はまあ褒められたもんじゃないよね、というのが全体的な感想。あと徳王はどうにもイケてないが王兆銘と溥儀はやっぱりカッコイイ。
著者の広中一成は1978年生まれで、コラムを書いている軍歌研究家の辻田真佐憲は1984年生まれ(げげ、この人後輩だ)、時刻表研究家の曽我誉旨生は1972年生まれと自分より若い人が執筆しているのに驚いたというかそれが普通で自分が情けないだけなのだが。